Smile once again!!
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諦めるしかないわね。
抵抗を止めた瞬間、物凄い炎の塊が頭一つ分上を通り、私を捕らえていた男を消し去ってしまった。
驚いて固まっていると、2人の男が近づいてきた。
こいつらは更にヤバい、と脳内の警鐘がウザいくらいにけたたましい。全自動猫かぶり装置が発動する。
『助けて頂いてありがとうございます。貴方方はどなたでしょうか』
「ボンゴレファミリー特殊暗殺部隊・・・つっても分んねぇ
だろうな」
炎の塊をぶっ放したであろう、態度の大きい男が答えた。私も(素でいれば)態度はデカいのだが、その事実はこの際棚の上に上げておこう。
『先程、武器を持った男達は、私の事を“ボンゴレファミリーの月の守護者”と言っていました。どういうことだか分かりませんが、ご存知ですか?』
次に答えたのはなんか、色々と、派手。てか、夜にグラサン??凄い目立ってるけどそれでいいのか暗殺部隊。
「そのあたりは後で説明するわね。ワタシ達はね、あなたをスカウトしにきたの。」
まさか、オカマだったとは!?
ってか、特殊暗殺部隊にスカウトですって!?
二重の衝撃が脳を襲う。
が、私の猫かぶりは崩れない。我ながら超さすが。
『特殊暗殺部隊がこんな小娘を?』
「貴女は希少で特別な“波動”を持っているの。それが“月”よ」
『波動?まぁ、希少価値が高いから欲しいという訳ですね。でも、多分人違いですよ。』
「いいえ、貴女が月の守護者で間違いないわよ。“今日、この時間に2人の日本人女子高校生が異世界からやって来る。その子らがボンゴレファミリーの10代目月の守護者である。”って予言されていたのよ。こんな時間に出歩く女子高校生なんてあまりいないじゃない?しかもここ、イタリアよ?」
まじで?イタリア??なんで???色々と信じられないが、一旦納得する事にする。じゃないと話が進まない。
「ワタシ達と一緒にい来て欲しいのはホントだけど、貴女の意見が最優先よ。ヴァリアーは悪いところじゃないわ。男ばっかりでむさ苦しいだけで。どう?来ない?」
本当に異世界から来たのだとすれば、私に帰るところはない(元々ない)。男ばっかりも、むさ苦しいも、ぶっちゃけマジでどうだっていい。
よし、ついていっちゃえ。人生において、“もうどうにでもなれ”精神だって大切だ。
と、思いたい。
『分かりました。貴方方についていきます。
小鳥遊 小陽南です。よろしくお願いします。』
「まぁっ、可愛い名前!よろしくね、小陽南ちゃん!
ワタシはルッスーリアっていうの。“ルッス姐”って呼んでね。
この人はワタシ達のボスのXANXUSよ。
ボス、なんかない?」
「てめぇのその猫被りが気持ち悪ぃ。どうにかしろ。」
その声は心底うざったそうだ。
つか、たった数分の違和感を我慢出来ないって何。
『この猫被り、どうにかするとふてぶてしくて生意気になるんですが』
若干食い気味で構わねぇ、と許しがでた。
気が短そうだし生意気なのは嫌いそうだからこその猫被りだったのだが、そまで気を遣わなくてもよかったらしい。
もっとも、気が短いのは当たりだろう。そうでなければこの場で猫被りを指摘したりしない。
『そ。じゃあ楽にさせてもらうわね。でも猫被りって分かってたんなら最初に言って欲しかったわ。面倒なのよ、このキャラ。』
「あら、小陽南ちゃんの本性はそんな感じ?そっちの方がいいわよ。」
『そう?ありがとう。』
「さぁ、もう遅いし歩きながら説明するわよ!」
その一言で歩き始めた。