【書庫】捧げ物

□―Happeningって常に付き纏って来る影のようなもの。―
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――何で?


何で俺はこんなにドキドキしてんだ?
さっきのは……ただの事故じゃねェか。


って、このシーン今まで何処かで聞いたことあるんだけど……。
新八とあのパンデモニウムとかだっけか?
ま、まぁ、とにかく。



「な……何か言えよ、お前。」
「………。」
「嫌、本当に何か言って、銀さん泣いちゃうよ?
こんなハプニング、他の漫画ではありありだけど、これはあの下品な漫画で知られる銀魂だよ?」
「………。」
「な、何か言ってぇ、お願い!
300円あげるから!」



俺は相手――月詠に対して必死に言葉を投げかける。
だが、月詠はそっぽ向いたままで。
顔を俯かせているが、横髪に隠れて微かに見える耳が真っ赤になっていたのがわかった。



………。
耳を真っ赤にして今すぐにでも蒸発したいのは俺何だけどォ!
今すぐアルプス山脈へテレポートして「あいいいいやァァァァ!!」したい!
俺のこの胸の中でせめぎ合う感情を思い切り出し切ってしまいたい!


誰かァァァァ!!
俺にテレポート能力をォ!




『Happeningと言うものは常に付き纏って来る影のようなもの。』








事は数十分間前に遡る。
俺達万事屋は吉原に飯をたかりに来ていた。
日輪はにこやかな笑顔で俺達に飯を恵んでくれるから、俺達は飯をたかりに行く常連になっていた。
……普通はこんな常連になりたくないがな。


蛇足だが、俺に群がっている遊女が飯を恵んでくれるって言うから、着いて行ったら、遊女の集団に服をかっさわれて、危うかった時があった。
何か、モテるのも大変だなぁ……。


何て悠長な事を考えてみたり。
って、関係ない話になっちまったな。
話を戻そう。


んで、食料が尽きたんで、日輪にお世話になってた訳だ。
飯を口に運んでいる最中、新八が唐突に口を開いた。
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