【書庫】銀×月小説【Short】

□―衣装の取り替えって結構楽しい―
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『衣装の取りかえって結構楽しい。』





「なぁ、月詠。」
「なんじゃ?」
「お前のその格好って、かなり色っぽくね?」
「………。」


唐突に何を言い出すのじゃ、この男は。
わっちはその男から視線をそらし、紫煙を吹く。
それでも、能無し天然パーマは身を乗り出して聞いてくる。


「お前さー、何でそんな大胆な着物着てるの?
しかも出している足には網タイツ?
どんだけ男を狙ってるんだよ、テメェの顔だったら股開いてれば誰かぶち込んでくれ……ぶふぉ!」
奴の言葉は途中で途切れた。
当たり前じゃろう、わっちが銀時に向けて鉄釜を投げたのじゃから。
中には熱湯。
それが銀時の頭から掛かり、銀時は絶叫を上げた。
普通なら病院行きじゃろうが、奴なら大丈夫じゃ。
底知れない身体能力と、体力を持っておるからのぉ。


「熱ッ! しかもいてぇ!
何すんだよ!
いつにもない代わり映えの無い乾いた双眸で俺を見つめやがって!」
「誰がいつ主を見つめた!
代わり映えのない乾いた双眸ってどんなんじゃ!」


わっちがツッコミ疲れで頭を抱えているところで、銀時は更に詰め寄ってくる。


「ねーねー、何でそんなに足出してるの?
お前の友達からもらったカード見たんだけど、超足見えてたぜ?
お前、ちゃんとパンツはいてるの?」
「それは一種の猥褻的な発言じゃぞ!
クナイをお見舞いしてやろうか?」
「嫌ですー、お前のクナイなんて、俺の心の魂には届きませーん。」


ドスッ! と額にクナイの刺さる生々しい音がした。
「ってぇなぁ。」


銀時は口を尖らせながらクナイを抜き、額を押さえる。
暫くは流血していたが、いつの間にか止まる。
それがこの男、坂田銀時の可笑しなところ、七不思議の一つ。
どうせなら七つ全部紹介してやろうかの?
嫌、やっぱり遠慮しておこう。


………。
そういえば……。


「銀時だって開いておるであろう?」
「あ?」
「ほら、右の着物が開いて下のズボンが見える。」


銀時は自分の服装を見やる。


「わっちの着物と同じようなもんじゃろう。」
「嫌、でも、ズボンと網タイツは違うだろう。」
「じゃあ……。
ズボン脱げ。」
「はい?」


銀時は耳が遠くなったお年寄りのように口元を窄める。
わっちは同じ言葉を続けて言った。


「だから、ズボン脱げ。
そうすれば、対等になるじゃろう。」
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