【書庫】拍手小説

□―儚いものほど壊してしまいたくなるもの、それが独占力―
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「どうしたの、月詠。
怖い顔して?」
「え?」


日輪の声に、わっちは顔を上げる。
自分の眉間に手を当てると、皺が寄っているのがわかった。
嗚呼、相当怖い顔をしておったのじゃの。


「疲れてるの?
月詠姉。」
「休んだ方がいいわよ。
最近この辺更に物騒になってるからねぇ。
休まる時間がないのは承知してるんだけど……。」


晴太、日輪は心配そうに聞いてくる。
だが、わっちは二人の発言に頭(かぶり)を振った。


「嫌、物騒になっているからこそ、わっちが働かなくてはならぬのじゃ。
大丈夫じゃ、わっちは倒れぬ。」


二人に微笑みを称えると、わっちはひのやを後にした。
最近、吉原に来た浪人が何者かによって虐殺されていると言う事件が起きている。
犯人を捕まえたと思ったら、また次の犠牲者が、と永遠のループが止まらない。
現場には生々しく血痕が大量に残されていた。
暫く時間がたった為、黒く変色している。


「………。」


わっちはその現場に目を配せる。
そして、ある事に気付いた。
 

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