焔の光 ‐鬼‐

□焔の光 ‐陸‐
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目が覚めたら千寿郎が心配そうに覗き込んでいた

『千寿郎・・・嫌な夢見た。煉獄さんが・・・』

起き上がるとズキっと痛みが走り現実と直面する

夢じゃ、ない

「寧々まだ起きちゃ・・・」

言う千寿郎の瞳からも涙が零れていた

『嘘だ、嘘だ・・・っ』

寧々の目が覚めないうちに杏寿郎の葬儀が行われることになり、参加は出来なくても傍に居させてやりたいと天元が連れてきてくれたと聞いた

「宇髄さん、先程までいたんですが少しお出かけに・・・」

「出ていけ!」

外から大きな声が聞こえて千寿郎が慌てて走っていった

「どうせ下らんことを言い遺しているんだろう たいした才能も無いのに剣士などなるからだ だから死ぬんだ!くだらない・・・愚かな息子だ杏寿郎は!」

槇寿郎の声が聞こえる

「人間の能力は生まれた時から決まってる。才能ある者は極一部!あとは有象無象。なんの価値もない塵芥だ!杏寿郎もそうだ。大した才能は無かった。死ぬに決まっているだろう」

あんなの、本心じゃないことは分かりきってる

起き上がった寧々も声の方へ歩いていった

「父上!」

「千寿郎!葬式は終わったんだ。いつまでもしみったれた顔をするな!」

「・・・ちょっと!あまりにも酷い言い方だ。そんな風に言うのはやめてください!」

炭治郎の声がする
玄関までがとても遠く感じた

「出て行け、うちの敷居を跨ぐな・・・」

言いかけて槇寿郎は炭治郎の耳飾りに目を見開いた

ガチャンと酒壺の割れる音が響く

「・・・お前・・・そうかお前・・・“日の呼吸”の使い手だな?そうだろう!」

「“日の呼吸”?何のことですか?」

いきなり槇寿郎は炭治郎に殴りかかった

(速い!素人の動きじゃないぞ・・・!)と炭治郎は殴られた頬をおさえ思った

「父上!やめてください!その人の顔を見てください!具合が悪いんですよ!」

必死に止める千寿郎の声。そう、炭治郎だって怪我をしているのだ

「うるさい黙れ!」

バシッと叩かれた音

走りたくても上手く体が動かない

「いい加減にしろ この人でなし!」

今度は炭治郎の怒りに満ちた怒鳴り声
槇寿郎を殴り返していた

「さっきから一体何なんだあんたは!命を落とした我が子を侮辱して、殴って、何がしたいんだ!」

「お前、俺たちのことを馬鹿にしているだろう」

「どうしてそうなるんだ!何を言ってるのかわからない!言いがかりだ!」

「お前が“日の呼吸”の使い手だからだ。その耳飾りを俺は知っている。書いてあった」

(!“日の呼吸”ってもしかしてヒノカミ神楽のことなのか?)

炭治郎が考えていると槇寿郎は指をさし怒鳴ってきた

「そうだ“日の呼吸”は、あれは!始まりの呼吸 一番初めに生まれた呼吸 最強の御技 そして全ての呼吸は“日の呼吸”の派生 “日の呼吸”の使い手だからと言って調子に乗るなよ小僧!」

「乗れるわけないだろうが!今俺が自分の弱さにどれだけ打ちのめされてると思ってんだ!この糞爺!」

『やめて!』

間に合わなかった

「煉獄さんの悪口言うな!」

炭治郎は槇寿郎に向かって駆けだしていた

「危ない!父は元“柱”です」

バシッと炭治郎を弾いて殴り掛かる槇寿郎

(何でだ!もしヒノカミ神楽が“日の呼吸”だったなら、そんな凄い呼吸だったなら、なんであの時煉獄さんを助けられなかった!)

頭に血が上った炭治郎は止められず・・・ガッと槇寿郎に頭突きをかました

まだ殴ろうとする炭治郎に飛びかかる

『やめてやめて!炭治郎!』

「寧々?目が・・・覚めたんだね」

はっと炭治郎はやらかしたことに気づいた
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