脱色
□それは、エクスタシー
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「ちょっと痛いかもしれないわよ?」
「…痛くないようにしろ」
ノイトラの髪を耳にかけ耳朶を露出させると、ネリエルはピアスの先端で空いているはずの孔を探す。
季節は…冬。
寒さ故か孔は収縮しきっていて、ピアスの先端、ほんの僅かな先だけでも孔は飲み込もうとしなかった。
そしてノイトラは人一倍痛みに弱い体質。
他者に痛みを与える事は得意分野であるものの、自身の体を襲う僅かな痛みは一切受け付けようとしなかった。
「あなたってば案外、ビビリよね」
痛みという刺激に強いネリエルは、呆れながら呟く。
ノイトラの耳朶の丁度中央に窪みを発見するとそこに、丸く加工されてはいるが針にも似ているピアスの先端を、押し当てた。
「じゃあ…いくわよ?」
通常なら声をかけた後一拍か二拍程間を置いて差し込むのが、道理だろう。
しかしネリエルは言い終えるか終えない内に、勢いよくノイトラの孔へそれを押し込んだ。
元より貫通しているノイトラの孔は、針の先端が出口までの道のりを迷う事はしなかったものの、内部は遥かにきつく。
…きつく。
それはまるで、処女を奪うような。
ノイトラが痛みに表情を歪めた時、ネリエルの背筋がゾクリと震えた。世の男の誰もが持つとされる処女願望が、まさか自分にあったとは。
痛みに耐えるノイトラのその表情で、快楽を得る───…。