脱色

□JokeがMajiにかわるとき
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翡翠色の石を中央に取り付けた首飾りが、吸収した陽光を精一杯放って地に落ちた。



正確に言えば落とされた、の方が表現としては間違いないだろう。







ネリエルの手によってはねのけられたそれは、価値の無いゴミ屑であるかのように、ノイトラの足元に転がっていた。










「…どういうつもりだ、てめぇ」








送り主であるノイトラの拳は震え、今にも殴りかからんばかりの勢いだった。






ネリエルは無表情のまま、ノイトラを見つめる。











「お生憎様。私はそんなに安い女じゃないの」














その辺の女と一緒にしないで。

光りモノで容易く手に入るとでも?








ネリエルから放たれる言葉が次々と、ノイトラの胸に突き刺さる。




もともとノイトラは女に不自由しない性質だった。








それこそ毎晩のように女を取っ替え引っ替えし、その色恋狂いは十刃…いや、破面達の間で噂となっていた。


なびかない女には巧みな話術と、女の喜びそうな術をあれこれ駆使し、一夜の権利を手に入れる。







それが、ノイトラの手口であった。









しかし、どのような術を駆使してもなびかない女が一人。
目の前のネリエルだけは、ノイトラの誘いに対して一度も首を縦に振った事がなかった。












女一人手に入れられないのが悔しく、ノイトラのプライドを深く傷付けた。






だからこそ、手に入れなければ気が済まない。
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