脱色

□もしもし、―…もしもし?
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手の平で震えたライトグリーンの携帯電話が、ピンク色の光を放った。断続的に光るそれはメールが着信された時の合図。



ネリエルが携帯電話を開ければ、待ち受け画面の上部に差出人の名前がスクロールしていた。











ノイトラ さんからメールが届きました












ネリエルは溜め息を一つ零し、今まで毛布に包まっていた上体を起こす。




暗闇の中、目覚まし時計を探しだそうと試みた。
手中に収めるのに時間を幾らか要したものの、無事に探り出して。











(まだ、夜中じゃない…)




蓄光タイプの長針と短針は、午前二時を示していた。

寝起き故か未だ霞む視界から、ネリエルはそれをはっきりと読み取った。携帯電話を開けば時刻が待ち受け画面に表示されていて、今初めて、目覚まし時計が不必要だった事を知る。







こんな深夜にメールを寄越すとは何事だろうか、ネリエルは睡眠を妨害された事による苛立ちを露わに、届いたばかりのメールを開いた。








07/11/24 02:12
Fromノイトラ
───────
今、起きてるか?

─END─









たった一言だけのメールに、ネリエルは電話の一本でもして小言でも言ってやろうかと思ったが、相手に調子に乗られると都合が悪い。

己から電話がかかってきたとなると、ノイトラは無条件に有頂天になるだろう。それだけは、ネリエルのプライドが許さなかった。









恋い焦がれ、追いかけるのは、ノイトラだけで十分。

ネリエルは仕方がないと言わんばかりに、返信メールを作成した。
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