脱色
□Knock Three Times
3ページ/5ページ
必死でノイトラの腕より逃れようとする、ネリエル。
己の腕の中でもがくネリエルを更に強く抱き締める、ノイトラ。
攻防が小一時間ばかり続いた頃、ネリエルが諦めたと言わんばかりに全身の力を抜いた。
ネリエルの柔らかな体が、ノイトラの体に埋まって。
互いの体温が伝わり合う。
「最近、二人きりでゆっくり会えなかったものね」
ネリエルの声が響いた。
それは静かに、とても澄んでいて、ノイトラの心を落ち着かせる。
「寂しかったんでしょう?ノイトラ」
ネリエルは己を抱き締めるノイトラの腕を解すと、そのままベッドに倒れ込んだ。
ノイトラの背に、シーツの温もりが徐々に伝わる。
先のネリエルの言葉が気に入らなかったのか、ノイトラは舌打ちをし、ふてくされたように顔を背けた。
ネリエルの笑みを、視界端に残して。
「あァ?何言ってんだ、馬鹿野郎。アレだよ、アレ!…俺は体温が低いからな。この時期は冷えて仕方無ェんだよ」