脱色

□Knock Three Times
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「…ねぇ、ノイトラ。動き辛いんだけど…離してくれる?」


「知るかよ、んな事。黙って抱き締められてろ」








ネリエルの自宮で交わされる、そんな遣り取り。
小窓から木漏れ日が差し込もうが、月明かりが差し込もうが、ノイトラには関係が無かった。




ただ目の前のヒラヒラ忙しなく動く獲物を捕まえているだけ、それだけなのだ。





特に獲物をどうこうする訳でも無く、己の腕の中に閉じ込めては片時も離そうとしなかった。








ネリエルは溜め息を一つこぼす。







片手には食べかけの砂糖菓子が一カケラ。
満足に茶菓子を食べる暇さえ与えないノイトラに、呆れてみせた。









「そろそろ、集会の時間だわ。…離してくれる?」


「誰かが呼びに来たら、行きゃいいんじゃねェの。黙って抱き締められてろ」









問答のようなその会話は他者が聞いたら、滑稽だ、と笑いの一つでもくれるだろう。
しかし、当の本人達はいたって真面目であった。
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