脱色
□届けたい、…でも届かない
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「ねぇ、ノイトラ様。今夜はあたしの体を味わいません?」
「あら、私よ。いかがです?ノイトラ様」
「…あァ?てめぇらにゃ飽きた。もっと色っぽく誘えっての」
また、女の人と一緒。
着飾って、綺麗な人…彼も満更ではなさそうで。
私は自分の衣を見て、溜め息をついた。暖かい風に舞う髪の毛に視線を移しても、同じ。
何の飾りっ気もない私は、あの人達と比べて凄く惨め。
そんな時、彼と私の視線が重なった。
私に向けられた、彼の赤い舌。そして挑発するよう天を向け突き出された、中指。
あぁ、きっと。
私は彼に愛される事なんて、無いんだろうな。
そんな彼にきっと、私の想いなんて伝わらない。
そう思うと、ひどく悲しい気分のはずなのに、笑いが込み上げた。
平気!
…平気。私は平気なの。
悲しくないわ。
だから、笑っているの。