脱色

□目の前の現実は厳しすぎて
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「私はあなたなんか、嫌いよ」




獣と恋愛をする気は無いの、
そんなあいつの声が脳裏でこだまする。


毎晩遣り場の無い想いと欲が、俺の体を浸食していく。自分の欲に喰われちまう前に、早く吐き出さなきゃならねェ。






だから毎晩のように、俺には欲を吐き出すゴミ箱が必要だった。見た目が綺麗だったらどんなのでも構わねぇ、ただのゴミ箱なんだ。




大人しく腰を振って。




大人しく鳴いて。




大人しく俺の欲を受け止めてりゃ、いい。







あいつへの俺の想いを、代わりに受け止めりゃいいだけの事。なのに一夜を共にした女共は本物のゴミ箱以下の扱い方をされているのにも関わらず、俺の周りをうろついて。

下卑た声で誘い始める。







「ねぇ、ノイトラ様。今夜はあたしの体を味わいません?」


「あら、今夜は私。いかがです?ノイトラ様」




「…あァ?てめぇらにゃ飽きた。もっと色っぽく誘えっての」






追い払うように歩調を速めてもすり寄ってくる女共にそう言い捨てた時、一つの大きな霊圧が俺の肌を痺れさせるように響いた。
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