脱色
□思うままに抱き締めて
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ネリエルはノイトラの首に腕を絡め、身を任せた。右の手指でノイトラの背を軽く叩く。
弾いた事の無い、ピアノという楽器を真似るように。
人差し指と中指、それから薬指と親指を使って、曲を奏でる。
トン、トト
トンッ
トトン、ト…ッ
ネリエルの手遊びに一度だけ口元を緩ませたノイトラは、そのままネリエルをシーツに押し倒すように覆い被さった。
額に軽いキスを一つ。
鼻頭にも一つ。
唇には…己の長い指を押し当てて。
「てめぇからキスしてこなければ、俺はてめぇに手を出さねェ。…俺達はずっと、キレイな関係のままだぜ?」
ネリエルは真正面のノイトラを真っ直ぐ見つめると、どこか不服そうに唇を尖らせた。
心無しか僅かに怒りの籠もった震える声で、言葉を紡ぎ出す。
「私ではない他の人とは平気で、寝てしまうのに?」
「簡単に口付けて」
「その指で悦ばせるのに?」
ポツリポツリ、とネリエルは呟いた。
瞳を僅かに、伏せて。