脱色
□あなたとの距離、あと20センチ
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造り物と言えど、太陽を真似たソレはとても眩しくて。
現世でいう昼食時は瞬く間に過ぎ去り、今は藍染らやその他上級破面らが優雅に茶でも啜ってる頃だろう。
中には「優雅にティータイム」など微塵も似合わない者が居る事も、しばしば。
広く澄みきった青空の下、怒鳴りあうニ体の破面達も、その一部であった。
「ちったァ、痩せろ!デブ!!邪魔なんだよ」
「私はデブなんかじゃないわ!こればかりは、仕方無いじゃない!!」
互いを罵り合うセリフが、今の二人に似合うだろうか。
ノイトラとネリエルは白昼堂々空の下で抱き合っているのにも関わらず、口を開けば次々に悪態が飛び出す。
ノイトラの腕はネリエルの背をしっかり抱き締めていた。暖かい風がネリエルの髪を揺るがせ、その度に甘い香りをノイトラの鼻腔へと運ぶ。
ネリエルもまた、ノイトラの薄く、それでいて男らしい背へ腕を回していた。自分には無い雄々しさ、触れる度にネリエルの身体の奥の何かが騒ぎ出す。
別々の体で存在するのが口惜しくて。
叶う事ならば、溶け合ってしまいたい。