オルタナ 1
□第9話
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街の明かりが眼下に広がる。それはまるで星のようで、なかなかに美しいものだったが、今のヒロにはそんな余裕など無かった。
ミウの首を後ろから抱く両腕は、硬く強張っている。
「あまり下を見ちゃいけない。心配しないで、絶対に落ちないから」
「そ、そりゃわかってるけどさ、でも見るなって言われたら余計に見たく……」
するとミウは、先程のようにヒロの右の人差し指を優しく握る。
さすがにこの状況で眠りにつく事は無かったが、幾分かヒロの気持ちも落ち着いてきた。
「……ありがとう。もう大丈夫だよ」
「そう……じゃあ聞いて」
ミウの声のトーンが少し下がった。
「作戦を練ったほうがいい。相手は不死者だ。何をしてくるか分からないし、こっちは向こうがどんなヤツなのかも分からないんだから……」
「必要無い」
即答だった。