オルタナ 1

□第7話
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「俺は……確か授業をサボろうとここに来たんだ。そしたら霧が出てきて、誰か男の声がして……だめだ、そこから思い出せない」

 頭を押さえる中島。すると、もう一人女子生徒が目を覚ました。

「う……ん、わたし何でこんなとこに……」

「しっかりしろ。何か覚えている事はあるか?」

 ミウが女子生徒の背を擦りながら問うた。

「わからない……でもずっと頭の中に声が聞こえてて……『浅倉ヒロに渡せ』って……」

「俺に? 何を渡せって言ってたんだ?」

 そこで彼女は、自分の手にメモが握り締められている事に気付いた。

「これか?」

 ヒロはメモを受け取り、一弊すると、それを持つ右手の指に力が入る。

 メモには、

『今夜零時、桜乃港第三倉庫にて待つ
キミの大事なお友達もそこにいるよ』

 と書かれてあった。

「……あんた中島クン、だったよな? こいつらの事頼むわ。それと、覚えちゃいないだろうが、ここであった事は他言無用だ」

 ヒロはそう言うと、メモをくしゃっと握り締め、中島の「わかった」という声を背に、ミウと共に屋上を後にした。
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