オルタナ 3
□第68話
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「あ、あの……」
純朴そうな丸い瞳を輝かせ、少女はユキトに問う。
「いかがなさいましたか? お嬢様」
「わ、わたし、メイっていうんです。それで……」
ありったけの勇気を振り絞っているのだろう。メイと名乗る少女の両の手は、固く握り締められていた。
「はい、メイお嬢様」
少女は意を決したのか、震える唇をきつく噛み締め、やがて──。
「い、い、今だけは、わたしだけの執事さんになってくれませんか!?」
──これが殺意というものか、ユッキーギャル達はそう実感した。
しかし、メイの懇願に、ユキトはうっすらと目を細めて。
「勿論ですとも。この相馬ユキト、今だけはメイお嬢様の……そう、“メイちゃんの執事”でございます」
言い切った。
これはまさに“メイ”だけの特権だと言えよう。さすがのユッキーギャルも口を挟めない様子だ。
「……おい、生徒会長ってあんなキャラだったっけ?」
「相馬先輩、ノリノリだなぁ……」
呆気にとられるレイジとヒロだが、要するにユキトはもうヤケクソだったのだ。再度変態アマゾネスの襲撃を受けるくらいなら、メイちゃんだろうがあくまで執事だろうが何だってやってやる、と。
だが、彼らに呆けている暇などなかった。