オルタナ 1

□第9話
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 玄関を出ると、しんと闇が広がる。野良猫の目が光った。
 桜乃港第三倉庫に午前零時。そこにスピカがいる。

 ミウは周りに誰もいない事を確認すると、右手のリングに力を込め、変身した。

「ヒロ、確かに零時とメモには書いてあったが、少し早く着いたほうがいい。だから……」

 そう言ってヒロに背を向け、しゃがみ込む。

「ん? おいおいミウ……」

「空を飛んで行こう。ヒロぐらいの体重だったら全く負担にはならないから、ほら」

 ミウの翼がくいくいと動いた。少し愛嬌のあるその様子に、ヒロは笑む。

「んじゃ、よろしく」

 ミウの背に身を預ける。だが、その身体はやはり小さく、日本人の平均よりも少し背の高いヒロは心配になってしまう。

「もっとしっかりつかまって……じゃあ行くぞ」

 ミウの翼が大きくはためく。それに合わせるように軽くジャンプすると、二人の身体は地に降り立つ事は無かった。宙に浮いているのだ。

「わわっ、ほんとに浮いちゃってるよコレ!」

 驚くヒロの身体を背中全体で感じるミウは、

「ヒロ、大きくなったね……」

 と言った。
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