オルタナ 1
□第8話
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家に着くと、ミオが帰って来ていない事に安堵し、自室のベッドに仰向けに横たわるヒロ。
なるべくなら、今の自分の顔は誰かに見られたくなかった。何故なら、普段からは想像もつかない程に、険しい表情をしているだろうから。
ひょいと顔を上げ、机に飾った写真立てを眺める。
そこには、ヒロを真ん中に挟んで左にミウ、右にスピカの笑顔。
真ん中は縁起が悪いと言う自分に、ワタシが守るから大丈夫、とミウ。
「誰かさんがどいてくれたら、ツーショット成立で一気にめでたくなるのにねぇ」
そう当てつけに言ったスピカ。
このサキュバスと出会ったのは半年程前だろうか。
彼女は他の神族や魔族と違い、ヒロの命を狙いはしなかった。
それは下校中の事。ふらりと立ち寄ったコンビニで、後ろから声をかけられたのだ。
「ねぇキミ、浅倉ヒロ君でしょ?」
「え? そうだけど……」
「あたしね、キミにすごく興味あるんだ」
赤髪の少女は笑った。ヒロの心拍数が上がる。
今にして思えば、それもサキュバスの力だったのだろう。
「ね、どっか落ち着ける所……行かない?」
そう告げるスピカの瞳を見ると、ヒロは何も考えられず、こくんと頷く事しか出来なかった。