オルタナ 1

□第7話
1ページ/8ページ


「ノスフェラトゥ? なんだそれ」

「不死者という意味だ。ヤツらはそれに操られている。どうやら、悠長に話しているヒマは無さそうだ」

 生徒達はゆらゆらとおぼつかない足取りだが、それでも確実にヒロとミウを狙ってきている。
 ミウは、右手を掲げ光を集めると、それを細長く形成させる。するとその棒状の光は、いつものミウ愛用の剣に姿を変えた。

「ミウ、あいつらは操られてるだけなんだろ? だったら……」

「分かっている。気絶させるだけだ。そうすれば元に戻る」

 ミウは剣を鞘に収めたまま構え、不死者の虜となった生徒達に殴りかかる。
 なるべく傷付けず、だが気絶させるよう、しっかりと。

 うめき声を上げ、わらわらとミウに襲いかかって来る生徒達が、やがて一人、また一人と倒れていく。
 いかに不死者に操られていると言えど、ベースは人間。ミウの敵ではなかった。

 ミウはその内の男子生徒一人の頬をはたく。

「おい、目を覚ませ! 自分が誰で、ここがどこか分かるか?」

「うっ……俺は……中島。ここは……屋上?」

 どうやら中島というこの生徒は正気に戻ったようだ。

「そうだ、ここは屋上だ。なぜ今自分がここにいるか分からないんだろう? 誰かの声が聞こえなかったか?」

 ミウの声を受け、やがて中島のぼんやりとした視点が定まってくる。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ