オルタナ 1
□第6話
1ページ/10ページ
「っしゃあ! 世界史終わったぁ〜」
ミウとスピカが編入してきて一週間が過ぎた。
脂ぎった中年教師の授業が終わると、ヒロはそれまで全身に込めていた気合いを開放し、机に突っ伏す。
「ヒロ、どうしたんだ。具合でも悪いのか?」
廊下側前方の席からミウが即座に駆けつける。
「いや、ただ今日は田辺の愚痴がいつにも増して酷かったから、さ」
かみさんにも娘にも相手にされない哀しき中年は、こんな所で愚痴をこぼすしかないらしい。
「あたしもあのオッサン嫌い! ムネばっかり見てくんだよぉ」
今度は窓際後方の席からスピカがやって来た。
編入初日、サイコは、面倒だから二人の席は浅倉の近くだ――と言ったが、ヒロがそれを頑なに拒んだ。
何故なら、
「キサマのそのこれ見よがしで醜悪なパツンパツンがいけないんだ。少しは自重しろと言っているだろう」
「だって、ねぇ? アルんだからしょうがないじゃない? ナイ人には一生分かんないだろうけど、ね」
「なんだとぉ!」
「なぁによ!」
こうなるのが分かりきっていたから。