オルタナ 1
□第5話
1ページ/10ページ
毎朝ヒロを起こすのはミウの日課であり、生き甲斐でもある。
しかし、今日はいっこうにヒロの部屋までやって来ない。
たまたま今日は、目覚まし時計だけで起きるというキセキを成し遂げたからよかったものの、ヒロは不思議に思った。
すると、コンコンと控えめなノックの音。ミウでも寝坊するのかと苦笑しながらヒロは答える。
「ミウか? どうしたんだ、寝坊しちゃったか?」
ドアが少し開く。よく見馴れた銀髪が目に入ってくる。
「おはよう……そういう事じゃないんだ」
「そうだよな。ミウに限って寝坊なんてする訳ないよな。ましてや今日は……あっ!」
ヒロは、謎は解けたよワトソン君、とばかりに大袈裟に手をつき、ドアから顔だけを出し、恥ずかしそうにしているミウを手招きする。
「いいから入ってこいよ。お前の晴れ姿、見せてくれ」
「……笑わない?」
男子諸君、申し訳ないが、しばらく殺意を抑えてほしい。
「笑わないからさ、ほら」
ミウはおそるおそるドアからその身をさらけ出した。