オルタナ 1

□第4話
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 今朝の敵は手強かった。相手は魔族の男だ。男はヒロがゾーンを張ったのを確認すると、ただまっすぐヒロだけに狙いを定めてきた。

 ミウは体勢を崩されそうになるが、すぐに立て直し、男の攻撃を防ぐ。
 だがやはり男は、ミウの事など気にも留めていない様子だ。

「なかなか……やるじゃないかっ」

 男の剣を受け止め、ミウが言う。
 これまで、ヒロの無事を最優先してきた為、ミウの戦闘スタイルは常に相手の先手を取るものだった。
 だが、この男はそうはさせてくれない。正直、押されていた。

「俺をこれまでの相手と同じに思ってもらっちゃ困るなぁ」

 男は答える。そこでやっとミウと目が合った。つまり、それまではヒロにだけ視線と殺気を放ちながら、ミウと剣を交わしていたのだ。

「……名を聞いておこうか」

「俺の名はザンだ。以後、お見知りおきを」

 そこでスピカが声を上げる。

「あんたがザン? 魔剣のザンなの!?」

「ああ、お前は確かサキュバスのスピカだったよな」

 ザンと名乗るこの男は、ミウと鍔迫り合いながら、まるで友人と電話で話しているかのように軽い口調で答えた。
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