オルタナ 1
□第2話
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「……もうHRは始まっているのだが?」
「うっ……」
ヒロの身体が硬直する。
ここ、ニ年C組の一日は、いつもこの突き刺さるような女性教師の声から始まる。
「浅倉ぁ……私の名を言ってみろ」
「え? サイコ先――」
「私の名を、言ってみろ」
「き、木村サイコ先生でございます!」
「そう、私は木村サイコ。このニ年C組の担任だ。いわば、このクラスの最高権力者、帝王だ」
この光景を、クラスメート達は毎日眺めている。生温かい半笑いと共に。
「その私よりも後に教室に入ってくるとは、貴様、いったいどういうつもりだ?」
「いえ、その……」
「しかも毎日、だ。そんなに私に歯向かうつもりなら……よかろう、かかって来るがいい。天空に極星はニつはいらぬ」
どこかで聞いた事があるようなセリフだな、とは言えないヒロと生徒達。
いつもなら軽く睨みを効かされて終わるはずなのだが、今日のサイコは機嫌が悪い。突然の超展開に、ヒロはついて行けずにいる。