オルタナ 1
□第17話
1ページ/8ページ
陽射しが優しく、清々しい休日だった。
ミウは1人、繁華街を歩いている。
街はミウと同年代程の若者で賑わっていた。
そんな中を銀髪の少女が歩くのだから、やはり人目についてしまう。
しかしミウはお構い無しとばかりに、ただ目的地へとひたすら歩を進める。
ミウがここに来た理由――こうみえて彼女は、人一倍おしゃれに気を使うのだ。
「たまには息抜きでもしてきなさい」
そう言うミオから臨時収入を得た。
その瞬間、ミウの頭の中は、ファッション雑誌で見たあんな服やこんなスカート、そんなブーツでいっぱいになった。
本当は隣にヒロがいて欲しかったが、たまの休日くらいはゆっくり寝かせてあげよう、という訳なのだ。
ついでに、あの小憎たらしいサキュバスも。
だが、ふと考えてみると、1人で街を歩くなど滅多に無い事だ。
いつもすぐ隣に身長174cmの少年がいる環境で過ごしてきた。
世界の広さを感じる。陽射しが、風が、浅倉ヒロを通さず自分だけに直射する。
ミウの心境は、はじめてのおつかいに挑戦する幼な子のそれに近かった。