オルタナ 1
□第16話
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「だぁからキサマはヒロから離れろ!」
「何でよぉ! ミウちゃんとアカネちゃんがどっか行けばいいんじゃないのよ!」
「あーっ! 2人ともヒロちゃんにくっつきすぎーっ! 今すぐ離れなさいっ」
「もう勘弁してくれよ……」
昼食どきになるとよく見られるこの光景だが、今日は少しばかりその熱さが違う。
事の発端はこうだ。
いつものように『はい、あーん』とヒロに愛のカケラを運ぶ3人だったが、今回は偶然そのタイミングがぴったりと重なってしまった。
ミウ、スピカ、アカネの心に、青く静かに、だが何よりも熱く揺らめく焔が灯る。
――ワタシが先だ。
――あたしよっ!
――わたしが1番だよっ!
ヒロを囲むトライアングルで、鈍感な彼には決して見えないであろう火花が散る。
「ヒロぉ……お前一発ぶん殴っていいか?」
購買の可もなく不可もないコロッケパンをかじりながら、レイジ。
だが、今日はレイジを取り巻く環境もいつもと違っていた。