オルタナ 1
□第15話
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それは突然だった。
夜も更けて、就寝しようとしたヒロの携帯電話が、けたたましく鳴り響いたのだ。
無視を決め込むヒロだったが、携帯のディスプレイには、見慣れた番号と名。
『土屋キリコ』
ふはぁ、とため息とあくびの混じり合った何とも間抜けな声を上げ、電話に出る。
「ふぁい、もしも――」
『ヒロっ! レイジが……レイジがっ!』
キリコのいつもとは明らかに違う様子に、ヒロの瞼も強引にこじ開けられた。
「ちょっと落ち着けキリコ。どうしたんだよ」
電話の向こうからは、時折嗚咽を噛み殺すような声が聞こえる。
『っ……レイジが……何か訳分かんないヤツに拐われちゃった……』
ヒロの耳に、霧を纏った少年の笑い声が蘇った。