オルタナ 1
□第12話
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土屋キリコの朝は早い。
両親は共働きの為、家事全般は彼女の仕事だ。
そのせいか、料理もスピカやアカネ程では無いが、そつなくこなす。
自分と同じ桜景学園に通う妹の分まで弁当を作る。
ほんの少しだけ、卵焼きを焦がしてしまったが、まぁそれはご愛嬌。
妹の部屋まで来た。
ノックも無しにいきなりドアを開ける。
「フーコ、朝だよ! ほら起きて!」
「……むぅ〜、あと10分……」
ベリーショートの頭が姉の姿を確認すると、布団の中に潜り込む。
キリコはそんな妹、フーコの耳元に口を近付け、
「光速裏拳イッちゃう?」
と囁いた。
すると、脊髄反射でがばっと起き上がるサル頭。
「おねーちゃん、おっはー!」
古すぎる。
「……おっはー」
付き合うな。それに、オリジナルは『おーはー』だ。