オルタナ 3
□第68話
1ページ/17ページ
「お帰りなさいませ、お嬢様」
『ゆっ、ゆっ……ユッキーせんぱぁい』
ヒロとレイジの目論見は、見事なまでに的中した。
キュアっとふぉ〜むcafeの唯一とも言える弱点──それは、女性客の取り込みだったのだ。たかが学園祭の模擬店であっても、今の世の中ここを抑えない限り、サービス業としてはまず成り立たないだろう。
そしてそれは、そのままB組のキャバクラ喫茶の弱点にも直結する。
いや、むしろそれがより致命的となるのは、キャバクラ喫茶の方だと言える。
まず、キャバクラに好んで入りたがる女性客は少ないだろう。嫌悪感に近いものを覚える者すらいるやもしれない。
ならば、メイド&執事喫茶ではどうか。
『なんか……あの執事さんかっこよくない?』
『……うん、かなり。てか、メイドの子も可愛いよね』
ユキトの容姿と、軍曹によって洗練されたメイド達は、確実に女性客の心を捉え始めていたのだ。
こうなってくると話は早い。相馬ユキトという“ツカミ”を押さえておけば、後は両陣営のオペレーションの差が如実に現れてくる。
『わあ、この紅茶美味しい〜』
『こっちのパフェもイケるよ』
(……よし!)
小さくガッツポーズをするミウだった。