オルタナ 3

□第68話
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「お帰りなさいませ、お嬢様」

『ゆっ、ゆっ……ユッキーせんぱぁい』

 ヒロとレイジの目論見は、見事なまでに的中した。
 キュアっとふぉ〜むcafeの唯一とも言える弱点──それは、女性客の取り込みだったのだ。たかが学園祭の模擬店であっても、今の世の中ここを抑えない限り、サービス業としてはまず成り立たないだろう。
 そしてそれは、そのままB組のキャバクラ喫茶の弱点にも直結する。
 いや、むしろそれがより致命的となるのは、キャバクラ喫茶の方だと言える。
 まず、キャバクラに好んで入りたがる女性客は少ないだろう。嫌悪感に近いものを覚える者すらいるやもしれない。

 ならば、メイド&執事喫茶ではどうか。

『なんか……あの執事さんかっこよくない?』

『……うん、かなり。てか、メイドの子も可愛いよね』

 ユキトの容姿と、軍曹によって洗練されたメイド達は、確実に女性客の心を捉え始めていたのだ。
 こうなってくると話は早い。相馬ユキトという“ツカミ”を押さえておけば、後は両陣営のオペレーションの差が如実に現れてくる。

『わあ、この紅茶美味しい〜』

『こっちのパフェもイケるよ』

(……よし!)

 小さくガッツポーズをするミウだった。
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