オルタナ 2

□第48話
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 待ちに待った日曜がやって来た。今日ばかりは、じりじりと照りつける太陽もどこか愛らしく見えてしまう。
 そんなヒロは奥方達を従え、ここ桜乃駅前でレイジやキリコらを待っている。待ち合わせ時間の午後1時はもうすぐだ。

「まあ、それでもやっぱり……あちーな」

「じゃあ飲み物買ってこようか?」

 ミウはそう言って駆けて行った。しかしミウが向かった先は、駅構内とは正反対の方角。つまりは繁華街の喧騒の中。

「なんだ? 自販機なら駅にあるってのに……」

「ねえヒロ君、ミウちゃんが走って行った方向ってもしかして……」

 その“方向”とやらを恐る恐る指差すスピカ。
 果たして、震える指先が指し示すものとは。

「あ、ああ……」

 駅前すぐにあるお馴染みの甘味処の店先に、これまた見慣れた銀髪が陽光を受け、艶やかな輝きを放っている。それは彼女の今の心境をそのまま表しているかのようだ。

 しかし、それを眺めるヒロ達は。

「たまや……だよね?」

 複雑な面持ちだった。
 まるで太陽の申し子のようなアカネでさえも、その表情は生憎の空模様。
 そんなヒロ達の想いは露知らず、銀髪の主は紙袋を抱え、小走りに戻って来るのだった。

 では何故、ヒロの表情は優れないのか? たまやと言えば、桜乃市民なら誰もが知っている人気店である。

 さて、その答えやいかに?

「はいヒロ、買ってきたよ!」

「あ、ありがとう……。して、これは?」

「タピオカ抹茶クリームレモンティー!」

 正解は、店長の超絶血迷いメニューと、ソレを選んでしまうミウの天元突破センスにあったのだ。
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