オルタナ 2
□第40話
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「──で、私、岡崎サトシは木村サイコさんを愛しています、と。つまりはそういう訳だ?」
「い、いや……あ、アイシテルというのはその……」
木曜。
2時限目の英語の授業が終わると、すぐさまレイジはこの教師の首根っこを抱え、廊下の隅、階段の陰までずるずると引きずって来た次第である。
理由は言わずもがな。最近のサトシの腑抜けっぷりに、さすがのバカ委員長も我慢ならなかったのだ。
そしてこれはサトシ自身の為でもある。このまま放っておけば、近い将来必ずやサトシは光速裏拳の餌食になっていただろう。
今はまだ『先生だから』という理由で抑えられてはいる。がしかし、行き場を失なったキリコのイライラが、果たして誰で発散されているのか? ──答えは言うまでもない。
つまるところ、レイジはこれ以上、あの伝家の宝刀の餌食になるのはまっぴら御免である、と。
「この顔見てよ。もうとばっちりはご勘弁プリーズなんスよ」
がっくりと肩を落とすレイジの顔は痣だらけ。そのせいか、このところレイジギャルの人数が僅かながら減ってきているのだ。
これは、『いつも数億人のオンナにチヤホヤされてたい』というギタリスト特有の思考を持つレイジにとって、死活問題なのだ。