オルタナ 2

□第35話
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 桜乃駅前通りの繁華街。
 黒木アカリは、休日になるとよくここにある有名カフェに訪れる。
 お目当ては、タピオカミルクティー。濃厚なミルクのコクと自然な甘み、タピオカの食感。そして最後に鼻を通り抜けるアッサムの薫り。絶品である。

 ふと、窓から人の行き交う駅前を眺めてみる。

 人、ひと、ヒト。
 誰一人として同じではないがしかし、誰もが皆、同じ顔をしている。アカリには、そう見えた。

 鬱窟な梅雨も明けようかという初夏の日曜なのに、何故みんなして仮面を被ったようなのっぺりとした顔をしているのだろう。

 切符売り場に並ぶ親子連れも。

 ゲームセンターにたむろする少年達も。

 隣に座った、恋愛話で盛り上がる少女達も。

 そして、わたしも。

 この街と、ここで暮らす人達はどこかおかしい――そうアカリは思う。

 こうして外を眺めているだけでも、ちらほらと“おかしい人”が見受けられた。
 彼らは、大きくニつのパターンで分類出来た。

 ちょうど今、書店に入った女性は白。朝、光のイメージ。
 かたや、タクシー乗り場に立つ男性は黒。夜、闇のイメージ。
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