オルタナ 2

□第34話
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 退屈。
 ミウにとって、女子高生として過ごす学園生活は、まさにこの二文字である。

 やたらと眠気を誘う授業(もっとも、サトシの英語だけはお気に入りなのだが)。
 とても噛み合っているとは言えないクラスメイトとの会話(もっとも、自分の好きな“ジャンル”の話題ならば、率先してその輪に加わるのだが)。

 それら全てがミウにとっては退屈だった。

 しかし、だ。

 神族として生を受け、戦いに身を投じてきたミウには、この退屈が愛おしかった。
 ぬるま湯に肩まで浸かったようなこの感覚が、たまらなく好きだった。

 ふと、思う。

 いつか願った平穏な日々。それがいつまでもこうして続いていくのでは、と。

 だがそんな考えは、いつも胸の奥底に燻る感情によって、どす黒く侵食される。

 ルーシィの遺言。
 ザンの言い回し。
 相馬ユキトの存在。

 イコール。

 ニーチェは、この学園内にいる?

 浅倉コウが死んで以来、ニーチェの存在を感じたことはない。

 しかし。

 ミウは知っている。
 その理由を、身に染みて、知っている。
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