オルタナ 1
□第6話
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「まぁでもミウ、そういう事だよ。あんまり気にすんなよ」
いつものように、わしわしとミウの頭を撫でるヒロ。
「…うん」
その美しい銀髪をくしゃくしゃにされながら、ヒロに身を、いや頭を委ねる。
レイジは、この扱いの差は何なんだ、と鼻血の海に沈みながら思うのだった。
「そう言やぁさ、アカネどこ行った?」
ヒロはふと、あの騒がしいショートカットが見えない事に気付く。
「そうなんだよね。あたしもさっきから少し気になってて…どこ行っちゃったんだろね?」
スピカとアカネは特に仲が良いので、相方の不在に少し寂しそうだ。
「またいつもみたいに屋上で空眺めてんじゃない?あのコあそこ好きだから。ねぇヒロ」
キリコが“ねぇヒロ”を強調して言った。
ヒロは、まぁなとバツが悪そうに答える。
「そっか、じゃああたし屋上行ってみるね」
「おい、もうすぐ休み時間終わるぞ」
ヒロがそう告げた頃には、スピカの姿はもう教室には無かった。