短編と設定集

□キリリク短編
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「キャ〜っ、相馬先輩〜っ!」

「……やあ、こんにちは」

 ジュースでも、と立ち寄った体育館裏の自販機前には、通称“ユッキーギャル”と呼ばれる女生徒達がたむろしていた。

「先輩、今日も草むしりですか? お疲れ様ですぅ〜」

「ああ、どうも」

 正直、ユキトには彼女らが理解できない。

 あからさまに好意を向けられていることは分かる。だが、何故自分なのだろうと。
 こんな無愛想で無表情な自分のどこがいいのだろうか、と。

 自分はある人物を監視する為差し向けられたエージェントだ。
 しかし一方で、こうやって女生徒の黄色い声を浴び、草むしりに勤しむ生徒会長でもある。

(……滑稽だな)

 思い、また苦笑するユキト。そんな彼にこちらもまた悶えるユッキーギャル。

 悪循環である。

 ループである。

「……すまない、僕はこれで失礼するよ。それでは」

 とうとう目的を果たせぬまま、ユキトはその場を後にすることにした。
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