短編と設定集
□残暑
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途中でコンビニに寄って、飲み物やら何やらを買った。アイツの家に置いてある物なんて、大体想像つくからね。
飲みかけのコーラ。
食べかけのスナック菓子。
ジャケットと中身がバラバラのCD。
なんとかみくるってアニメの女の子のフィギュア。
……なんでアタシはこんな男を。
ああ、でももう一つ。アイツが本当に大事にしてる物があった。ストラトなんとかっていうギターだ。凄くシンプルでカッコ良かった。
エレキギターってもっとツンツン尖ってるイメージがあったけど、あれは女性的な感じがしたな。女好きのアイツにはピッタリだ。――なんかまたイライラしてきたけど。
そうこうしてるうちにアイツの家の前まで来ちゃった。
チャイムを押す。
――出ない。うん、多分そうだろうなとは思ってた。
言い忘れてたけど、高野レイジは一人暮らしだ。
実家はお金持ちらしいけど、高校入学してからは、学費以外は親に頼らずにこうしている。
うん、ちょっとえらい。
ドアノブを捻ってみる。案の定すんなりと開いた。