オルタナ 1
□第11話
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カチン、と剣を鞘に収める音がすると、目前の魔族の男は灰となり、崩れ落ちた。
銀髪の少女はそれをどこか哀しげな目で見届け、黒髪の少年を振り返る。
少年も同じく憂いを帯びた瞳で、だが口元には柔らかな微笑みで応える。
「ダーリン、今朝もお疲れさまぁ」
少年の側から離れない赤髪の少女は、空気というものを読む事が出来ないようだ。
「いてて、そんなにくっつくなって。全身筋肉痛なんだからさ」
少年はこの間の傷がまだ癒えていなかった。あれから五日経つが、不死者が再び現れる事は今のところ無かった。
「やぁだ。あたしはダーリンとずっとこうやって、桜乃市の中心でアイを叫ぶの。そしてその声は、恋空いっぱいに広がるの! それがあたしのライフ(はぁと」
「……もう闇鍋状態だな」
銀髪の少女が肩を震わせながら、しかしそれどころではないといった風に少年に告げる。
「ヒロ、早く行かないとまた遅刻だ。サイコ先生に絞られるぞ」
これが浅倉ヒロのいつもの朝……なのだが。
「ああ、今日は多少遅れたって大丈夫なんだよ」
そう、今日はそういう日なのだ。