短編と設定集
□残暑
1ページ/8ページ
アタシはあのバカが好きだ。
アタシは高野レイジが好きだ。
でも言ってやんない。
そんな事、絶対に言ってやんないんだから。
〜残暑〜
アタシは今、このクソ暑い中、外を出歩いている。
今年の夏は例年より猛暑で――なんて毎年聞いてるような言葉だけど、今回だけはそれに賛同しよう。
九月ももう終わりだというのに、暦の上ではもう一ヶ月以上も前に秋になってる筈なのに、この暑さは何? 気温は……なんて死んでも知りたくない。
ああ、汗で額に前髪が貼り付く。
だったらどうして外にいるのかって? それは……もう考えただけで腹が立ってきた。
「キリコ、今年の桜景祭さぁ、バンドやんねぇ?」
我がニ年C組の誇るバカ委員長はアタシにこう言ってきた。
「お前結構ハリのあるいい声してるからさ、ヴォーカルいけると思うんだ。なあ、ちょっとやってみねえか?」
「ハァ? アンタそれ本気で言ってんの?」
「もう本気も本気。やろうぜ、なあ? よし、決定! んじゃまた連絡するわ」
アタシの意見、意志は全く尊重されず決定してしまったようだ。
こういうのなんて言うんだっけ、オラオラ? 違う? それもう古いか。