短編と設定集

□残暑
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 アタシはあのバカが好きだ。
 アタシは高野レイジが好きだ。
 
 でも言ってやんない。
 そんな事、絶対に言ってやんないんだから。
 
 
   〜残暑〜
 
 
 アタシは今、このクソ暑い中、外を出歩いている。
 今年の夏は例年より猛暑で――なんて毎年聞いてるような言葉だけど、今回だけはそれに賛同しよう。
 九月ももう終わりだというのに、暦の上ではもう一ヶ月以上も前に秋になってる筈なのに、この暑さは何? 気温は……なんて死んでも知りたくない。
 ああ、汗で額に前髪が貼り付く。
 だったらどうして外にいるのかって? それは……もう考えただけで腹が立ってきた。

「キリコ、今年の桜景祭さぁ、バンドやんねぇ?」

 我がニ年C組の誇るバカ委員長はアタシにこう言ってきた。

「お前結構ハリのあるいい声してるからさ、ヴォーカルいけると思うんだ。なあ、ちょっとやってみねえか?」

「ハァ? アンタそれ本気で言ってんの?」

「もう本気も本気。やろうぜ、なあ? よし、決定! んじゃまた連絡するわ」

 アタシの意見、意志は全く尊重されず決定してしまったようだ。
 こういうのなんて言うんだっけ、オラオラ? 違う? それもう古いか。
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