蜜柑の部屋

□本当のこと
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放課後、
あたしは海堂に一緒に帰ろうと言われた
今日は部活が無いらしい。

「どうしたの??海堂。」

「いいから。」

海堂が何かを企んでる。
そう察するのは簡単だった。
海堂の事だから変なことではないと思って、
だまって一緒に帰ることにした。



しばらく行くと、
前から桃城が歩いてきた。
どうやら曲がり角の所に居たらしい。

「海堂、お前どういうつもりだ。」

「お前がもたもたしてるから、
俺が貰おうと思って。」

「なんだとッ?!」

桃城が海堂につかみかかって、
ようやく事やばいと思った私は、
海堂と桃城の間に入った。

「ちょっと!!
やめてよ!!!
二人ともどうしたの?!
あたしにはさっぱりわからないんだけど??」

すると、海堂が口を開いた。

「要するに、
桃城もちゃんと嫉妬するってことだ。」

そして、桃城の肩をぽんっと叩いて帰ってしまった。

「どういうこと?」

桃城の方を向いて言う。

「・・・。」

黙って何も言わない。
あたしは、目を見ようとしたけど、
下を向いていて見えない

「俺は・・・」

口を開くけど言葉を飲み込む。
そんな動作が数回繰り返されて、
あたしは、こんな桃城を見るのは初めてだと思った。
いつも明るくて、前向きで。
こんなに焦っていて、
しかも多分怖がってるのは見たこと無い。
でも、見たことない一面が見れて嬉しいなんて思ってる自分が居て、
ああ、やっぱりあたしはこの人が好きなのかと再確認する。
その瞬間、気持ちが溢れてきて、

「ねぇ。好きよ。
顔あげて??そんな武見たくないよ。」

名前なんて呼んだこと無いのに。
好きなんて言った事あったっけ??
言った瞬間、武の驚いた顔があった。

「お前・・・」

「『こんな俺でもいいのか?』でしょ?」

武が言おうとした言葉を取ってみる。
すると、武の顔がいつものいたずらっ子みたいな顔に戻った。

「俺・・・俺・・・。
ずっと怖くてさ、近くにお前が居たら理性ぶっとんじまうんじゃないかとか、俺ってデリカシーってやつが無いだろ?
傷つけちまうんじゃないかとか。
ずっげー怖くてさ。
ごめんな。
ホントごめん。」

なんだか既にあたしには分かっていたことのように、素直に武の言葉をきいていた。

「あの・・・さ。」

「なに?」








(抱きしめてもいいか?)
(クスッ・・・)
(な、なんで笑うんだよ//)
(その言葉待ってました。)

      ギュ・・・

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