裏★小説

□渇望
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激しい悔しさと屈辱感を感じていた十代の心も体も、パラドックスから与えられる快楽に翻弄され、抵抗することを諦めていった。
終わりが見えない辱めの中、覚えているのは体が灼けてしまうような熱と、頭の芯が痺れてしまうほどの快感。

「………っ!」

思い出してしまいそうになったパラドックスの体の熱さに、十代はバッと布団に潜り込んだ。

(なんで、あんなヤツ…っ)

十代はギュッと体を丸める。
嫌だった。嫌なハズだった。
なのに、彼の切望するような熱の籠もった声が、耳から離れない。

――君はもう私のものだ。誰にも渡さない…。

切なくて、甘い声。
まるで耳元で囁かれたようにリアルにパラドックスの声を思い出してしまい、十代は耳を塞いだ。

「あんなヤツ…!」

世界を滅ぼそうとしていて、自分を無理矢理犯した、身勝手な男なのに。
十代は一瞬自分が感じてしまった胸を締め付ける感覚を振り払おうと、視界を遮断しようとした。
だが、体の異変に気付き飛び起きる。

「……っ」

鈍い痛みが体を走るが、構ってられない。
十代は感じた違和感の正体を突きとめようと、バッと布団を捲った。

「な、なんで何も履いてないんだよ!?」

十代の下半身は、何も身に付けていなかった。
上のシャツはブカブカだが、キチンとボタンが止められているというのに、下は真っ裸。
羞恥心を煽る格好に、十代はハッとして慌てて布団を手繰り寄せた。
これなら全裸の方がまだマシだ。

「ぱ、パンツはどこに…」

せめて下着だけでもないかと、布団を捲ってみるが、ない。
布団を引っ張って下半身を隠しながら、十代はベッドの下を覗き込んだ。

「な…ない…」

十代がガッカリと肩を落としたその時、ガチャリと扉を開く音がした。
十代は身を起こしてパッと顔を上げる。

「…っ!パラドックス…!!」
「フッ…意外と元気そうだな、十代」

扉の前にはパラドックスが口元に笑みを浮かべながら立っていた。
十代はグッと体に力を入れ、身構える。
パラドックスの後ろの扉は出入り口だ。
もうこの際、ワイシャツ一枚なんていう格好でも構っていられるか。
幸い手足も自由だし、逃げるなら今しかない。
腰の辺りにズキリと鈍い痛みを感じたが、逃げることの方が先決だ。
パラドックスがベッドへと近付いてくる。
十代は即座に決意すると、ベッドから降りて走り出した。
だが、パラドックスは十代の瞳に走った剣呑な光を見逃してはいなかった。

「おっと、どこに行こうと言うのかな?」

パラドックスはその長いリーチを生かし、自分の横をすり抜けようとした十代の腰を掴んでしまう。

「…っ!離せっ!!この変態!ドスケベ!」
「ド…」

あまりの十代の言いようにパラドックスは絶句する。
しかしすぐにニヤリと笑うと、十代の体を抱き上げ、ベッドへと押し倒した。
バブっと音を立てて、十代の体はいとも簡単にベッドに組み敷かれる。

「いやだっ!離せよ…っ!!くそッ」

頭の上で一纏めに掴まれた手首をシーツに縫い付けられ、十代はジタバタと暴れた。
上からパラドックスの楽しそうな笑い声が降ってくる。

「まだまだ元気なようだな…」
「何っ、んぅ…っ!」

パラドックスは空いていたもう片方の手で十代の顎を掴み、強引に口付けた。
歯列を割り、舌を差し込んで十代の甘い口内を蹂躙する。
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