☆期間限定ss☆

□聖なる夜の大騒動☆
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クリスマス。
恋人たちが甘い時を過ごし、家族が絆を深め、友達同士で楽しむ、そんな特別な日。
キラキラ輝くイルミネーションも、ワイワイ賑わいながら飾り付けた傑作のクリスマスツリー。
いつもより豪華な食事にプレゼント。

そんなクリスマスを楽しみにしていた、無邪気で純粋な少年は、この日、最大の災難に見舞われた。


「なんでこーなったんだよ〜!!」

離島に建つ、デュエリスト養成学園、デュエルアカデミア。
ブルー、イエロー、レッドの順に優劣で寮が振り分けている。
その中のクリスマスの飾り付けも派手なブルー寮から、少年の甲高い悲痛な叫びが聞こえていた。

「もーっ!!吹雪さん、これほどいてくれよ!」

クリスマス仕様に模様替えされた広いパーティーホールの中心には、イスに手首を縛り付けられた少年がいた。
会場の生徒たちの視線を一身に浴び、ブラウンの瞳を潤ませている。
唯一、赤い制服のままの彼、遊城十代だ。
手の自由を奪う縄を外してくれと、十代はこのパーティーの主催者であり、自分を拉致した吹雪に懇願した。

「ん〜、だってほどいたら逃げるでしょ?十代君」

吹雪は罪悪感のカケラもないような間伸びした声で答えた。
胸の前で握られたマイクのせいで、会場全体に会話の内容が知れわたる。

「っていうか逃げたいからほどいてって言ってんじゃん!」
「何で逃げるの?」
「何でって……何か嫌な予感がヒシヒシするんですけど」

十代はチラリと自分の周りに目を走らせた。
皆目がおかしい。
特に男子生徒。鼻息荒いヤツだけならともかく、ライバルだと信じていた万丈目なんか鼻血を出していた。
それだけならいい。
急いでここに来て息切れしちゃったんだろうな、とか、チョコ食べ過ぎたのかなとか、適当な理由でこの現状を受け流せる。
しかし、それらの症状を起こしている者がこちらを凝視しているとなれば話は別だ。
いくら天然仕様、鈍感体質の十代であろうとも、明らかに危険なのは分かる。
何が危険なのか、までは分かっていないが。
むしろ分からないままの方が幸せかもしれない。
不安がる十代と目が合うと、吹雪はニッコリ笑った。

「大丈夫大丈夫。どうせこの後逃げてもらわなきゃならないしね」
「え…それってどういう…」

十代が疑問を聞く前に、吹雪は会場の正面に向き直った。
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