◇宝物〜頂き物〜◇

□セイさんからの頂き物SS
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パラドックスという敵を倒し
デュエルモンスターズの危機を救った3人は
とある建物の屋上から、広場の様子を見てホッとした表情で眺めながら
自分たちの戦いを思い返し、一時の平和を感じていた。

しかし、やはり3人は決闘者なわけで
いつの間にか3人の話題は、世界の歩む未来より
いま目の前にあるそれぞれのデッキ、そして自分たちの暮らす世界の決闘者の話になっていた。


「へぇ、遊星の時代ではバイクに乗ってデュエルすんのかぁ!」

「それにそのシンクロモンスターというのにも興味があるな」

「なぁなぁ!さっきのスターダストっていうの見せてくれよ!」

「あ、はい」

「うぉー!スゲェ!外見は銀色なんだな!」


遊星からスターダスト・ドラゴンを受け取った十代は無邪気な顔でそのカードを眺め
その持ち主である遊星は、自分の頬が緩んでいくのを隠せなかった。

「俺の世界ではまだないんだよなぁ」


しかし、その笑顔がもう見れなくなってしまうのだと思うと
急に、心にぽっかりと穴があいたような感覚になって仕方なかった。

気づけば、自分の体は勝手に動いていて
遊戯さんの目の前だというのにもかかわらず
十代さんの体を抱きよせていた。


「ゆ、遊星っ?!」

「っ?!」

初めてこんな気持ちになった。

自分でもそう思った

だから、その気持ちを真っ直ぐに十代さんに伝えた。


「...十代さん、俺はあなたのことが好きです
たとえあなたが過去に帰ってしまうとしても...これだけは、この思いだけは伝えたかった...」


「遊星、お前駄々っ子みたいだぞ?
...まぁ、そりゃさもう会えないかもしれないけど
俺たちは絆で繋がってるんだって言ったじゃん」


十代は、遊星の腕の中にすっぽりとうもりながらも
遊星の背中にスッと腕を回し、宥めるように遊星を抱きしめ返した。


「っ十代さん?!」

「今だけだぞ、奇跡が起きればまた会えるかもしんないんだし」

「でも...」

「遊星」


抱きしめ返されたことに、びっくりした遊星に十代は今だけ
と言ってその奇跡を信じた
遊星もそれを信じたかったが、もしもそれが叶わなかったら?
と自分の中でそれだけがリピートされてしまい言葉を返した。


しかし、それを返した瞬間
十代に名前を呼ばれ、不安を帯びた言葉を止めざる負えなかった。


そして十代は続ける


「俺たちの絆はそんな軽いもんじゃないんだぜ?
俺とお前がまた会いたいと思うならきっとまた会える
俺は、それを信じてるから」


遊星はその一言一言に心を惹かれた。


「十代さん...やっぱり俺、十代さんのことが好きです」

「おう!」

遊星の告白に、改めて十代は笑顔で答えた。


しかし、ここで一つ大事なことに気付いた。



「っあ...」

「十代さん?どうしたんですか?」

「あ、いや...その...遊戯さん、は?」

「あ...」


そのことに気付き、どこだどこだ?と周りを見渡してみると


「俺だって、一緒に戦ったのに...」


いた...

しかも声をかけるのがメチャクチャ気まずい雰囲気をまとって


「あ、あのぉ...遊戯さん?」

勇気を出して十代が声をかければ...



「やっぱ、3人ってキツイよな」

なんかグチッてた



そんな時



<<何言ってんの?もう一人の僕
僕だっているじゃないか>>


「相棒...」

<<大体なんで不貞腐れてんの?
大体、君がヘタレてどうすんのさ、ここは遊星君から
十代君を奪う気でいないとダメじゃないか>>


「ゾク)っ...あれ?今ものすごく怖い感じが...」


「っ!?」


「って、どうしたんだよ遊星!そんなに身構えて」

「いえ、とてつもない闘気を感じたもので」


そういう遊星は、デュエルディスクを構え
十代を抱き寄せる形になっていた。







その後、遊星と遊戯(表)との間で激しい戦いが日が暮れるまで繰り広げられ

結局、十代がユベルとネオスを実体化させ
2人の喧嘩を止めに入ったのだった。

そして、十代も遊星もまた、自分たちの世界へと帰って行き
それぞれの世界で、この日のことを思い出すのであった。




もちろん、それから何年後かに遊星と十代が
巡り会うのはお約束


END

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