●お題SS●

□K(空気)Y(読め)
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「十代……」
「覇…王…」

気まぐれに訪れた心の部屋で、オレはもう一人の自分の人格に押し倒されていた。
アレ…?どうしてこうなったんだっけ?
ちょっと前に暇だったからって心の部屋にいる覇王の元を訪れて、デュエルしたり、デッキの構築について話し合ったり、他愛もない話をしたり…。
………別におかしい所はないよな?

「…なぁ、覇王……一つ、聞いていいか?」
「……何だ?」
「何でオレ、押し倒されてるんだ…?」
「…………」

あ、覇王がすっげぇしかめっ面になった。

「分からないのか…?」

分からないから聞いてるんだろ、と言いたかったけど、覇王がスッゲー不機嫌そうな目で睨んでくるから黙っといた。
なんなんだ。オレ何か悪いことでもしたのかな…?
不服そうに口元をへの字に歪める覇王を見上げながら、首を傾げていると、上から降ってくるため息。

「……お前に期待した俺がバカだった」
「は…?」

意味の分からない文句を漏らし、オレの上から退いた覇王はこっちに背中を向けてドカッとその場に座り込む。
こっちに見向きもしない覇王は、誰から見ても拗ねているようだった。
一人取り残され、しばらくボーっと覇王の背中を眺めていたオレは、だんだんと理不尽感に苛まれてきた。
いきなり押し倒されるし、意味不明なこと言われるし、まるでオレが悪いみたいに拗ねはじめるし。
何なんだよ!
ムカついてきたオレはバッと起き上がり、覇王の正面に回り込んだ。
表情は相変わらずムスッとしている。

「……何だ」
「何だはこっちの台詞だろ!いきなり怒り出すし…オレ何か悪いことしたかよ?」

なんか思い出す度に腹が立ってきたぞ。
拳を握って怒りを抑えるけど、目の前の覇王はそんなオレなんかお構いなしに、フイッと目をそらした。
態度悪すぎだろ!

「お前は別に悪いことはしていない。……が、お前が悪い」
「はぁっ!?なんだよそれ!意味わかんねぇっ!」

オレはスゴい剣幕で怒るけど、覇王はフンッと鼻を鳴らして、それ以上は何を言っても相手にしてくれなかった。
途中、ボソリと呟いた一言を除けば。

「空気を読め。この鈍感め」

マジで意味わかんね――っ!!





K(空気)Y(読め)


(俺が好きだと言ったらお前も好きだと言ったクセに。両思いになったのならやることは一つしかないだろう……!色気のない奴め!)









覇王様の告白に、いつものクセで二つ返事を返してしまった十代。
でも実は覇王様の気持ちは正しい意味で伝わってなかったという、切ないオチ(笑)

読んでくださってありがとうございました!
10/1/12
 

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