ゼアル小説

□邂逅
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ゼアル×十代クロスオーバー第2弾!
調子に乗り切っていることはお分かり頂けるかと(笑)
今回も特にCP要素はありません。
ただアストラルと十代は早くも仲良しになります。
通常通りのギャグ話ですので、かるーく読んでやってください。
クロスオーバーおkな方はこのままどうぞ!









『意外に親近感がありました』

謎の青年が突然空から降ってくるというミラクルな出来事が起きたその日の夕方。
編集部から帰ってきた姉、明里に青年を連れてきた事情を話した遊馬は、やはりというか当然ともいうかバッチリお説教を食らった。
何で病院に連れて行かなかったんだとか、家に連れて来る時に連絡を寄越さなかったんだとか、険しい顔つきで怒られて遊馬が「ビックリしててそこまで考えられなかったんだよ」と反論したら、鬼の目つきで黙殺され、そこから怒涛のお説教が続いた。
姉の小言の大嵐から解放されたのは約三十分後で、ようやく自由になった遊馬は自室へ戻る道のりをフラフラとした足取りで歩いている。

「はぁ〜〜…何もあんなに長々と説教することねぇじゃん、姉ちゃんの奴」
「だが、彼のことは許してくれた」
「まぁ、元気になったらきちんと事情を話してもらうって条件でな。それにしたって三十分も説教することねぇだろ?一応人助けしただけなのにさ」
「君のお姉さんが怒っていたのは彼を連れてきたことではなく、君の普段の素行に対してだと思うが……話の大半も君の生活態度に関する注意ばかりだっただろう?」
「う……っ、うるせぇ!人が怒られて落ち込んでるのに追い討ちかけるなよ!それにお前のことでも注意されたんだからなっ!」

遊馬はビシィッとアストラルを指差す。

「私の……?何をだ?」
「俺以外にはお前のこと見えないだろ!こうしてお前としゃべってても周りにはお前が見えてないから俺が独り言いってるみたいに思われてんの!姉ちゃんにだって変な風に思われてるんだからなっ」

目を吊り上げて怒る遊馬に、アストラルは一瞬何か考えるような仕草を見せてから、淡々と言った。

「それは……人目がつく所で君が大声を出さなければ済む話ではないのか?」
「声のデカさの問題じゃねぇ!」

遊馬が怒鳴る。
そもそも大声を上げてしまうのは誰のせいだと思ってるんだ。
遊馬はアストラルを睨むが当の本人は素知らぬ顔。
そうこうしている内に自室にある屋根裏手前にたどり着き、結局遊馬はアストラルに噛みつきたい気持ちを抑え、階段に足をかける。
今騒げば上の部屋にいる彼を起こしてしまうかもしれない。
腑に落ちないがここは我慢しようと階段を登り始めた遊馬を、アストラルがスーッと追い越してふわりと上昇していく。
どれだけあの人のことが気になっているんだ、コイツは。

「だいたいさぁ、お前はいつまで俺に取り憑いて……」

ぶちぶちと愚痴りながら階段を登っていた遊馬は、ふと上を見てアストラルが固まっていることに気が付いた。

「……?アストラル…?」

頭上にいるアストラルは遊馬の呼びかけにも反応せず、ただ前方を凝視したままだった。
滅多にないアストラルの様子に、遊馬は眉を顰める。

「どうしたんだよ?」

再び問いかけながら、遊馬も階段を登り切って部屋へと入る。
そして、アストラルが見ている先を辿って、遊馬は目を見開いた。
アストラルが呆然と見つめていた先、遊馬の瞳に映ったのは、自分たち以外でここにいる唯一の人間。
そう。遊馬たちの目の前で、突然空から降ってきた青年の姿だった。
明里に事情を話しに階下に行く前はまだ眠っていたハズだったが、目を覚ましたのか上半身だけを起こした体勢のまま、青年はボーっと宙を見つめていた。
ずっと閉じられていて初めて目にする瞳は、透き通った琥珀色をしている。
どこか気の抜けたように宙を見つめていながらも、その瞳の奥にある強い何かに、遊星は思わず息を飲んだ。
窓から差し込んで室内を緋色に染め上げる夕焼けに照らされた、どこか浮き世離れした雰囲気を纏う青年の横顔が遊馬の胸をザワリとざわめかせる。

「……っ……あ…」

波打った胸を抑えるように無意識に首に下げた鍵を握り締めて、遊馬は小さく声を漏らす。
何か言わなければという情動に駆られて声帯を動かしてみたものの、言葉どころかまともな発声にもならず、遊馬はもどかしさに唇を噛んだ。
遊馬の声を拾い上げたのか、ボーっとしていた青年の瞳がおもむろにこちらを向いた。
濁りのない澄んだ琥珀が、まっすぐに遊馬を捉える。
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