◎拍手ログ◎

□いつか、また
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覇王様ご登場のカウントいちは都合によりupできませんでした;
データ半分消えてたorz

今回の話は捏造ED。
まあカウントダウン企画自体映画観る前に書いたんで捏造ですけどね(笑)
映画観る前の自分がこんなEDだったらいいなーっと思って書いたので、映画本編とは別物と考えて読んで頂けたら嬉しいです。
ではどうぞ。










短い間だった。
三人が共に同じ時間にいられたのは。
けれど、何よりも強い絆で繋がれた。
この思いだけは、例え時を違えようと変わらないものだ。




『いつか、また』

遊戯、十代、遊星、三人のカードと力を合わせ、激闘の末、パラドックスを倒した。
無事に遊星のスターダストドラゴンも取り戻し、世界の破滅を免れた。
強大な敵を前に、感じたのは背中を支える強い力。
友を信じる心。
そして、何ものにも壊すことのできない絆。
世界を救えたことに安堵しながら、三人は心が打ち震えるのを止められなかった。

「十代くん、遊星。やったな」

遊戯が親指を立てながら微笑む。
彼もまた、感じていた。
自分たちを繋いだ、強い力を。
それは遊戯の心を高揚させ、同時に穏やかな感情をもたらしていた。
「はい!これも遊戯さんと、遊星、お前のおかげだぜ!」

十代が無邪気な笑顔を向ける。
パラドックスとの闘いで遊星と遊戯の心を支えてくれたのは、十代のデュエルを楽しむ真っすぐな心だった。
どんなピンチの状態でも、彼はデュエルを楽しんでいた。
絶対絶命に陥った時も、彼らを照らし続け、道を示してくれたのは十代だ。
遊星は穏やかな笑みを十代に向け頷き、遊戯に向き直った。

「遊戯さんも、十代さんも、本当にありがとう。あなたたちがいなかったら、俺はスターダストドラゴンを取り戻すことはできなかった。感謝してもしきれない」

二人を見つめる遊星の目が、僅かに潤む。
それはスターダストドラゴンを取り戻すことができた安堵からであり、遊戯と十代に対する感謝の念から込み上げてきたものだった。

「いや、俺たち三人が力を合わせたからこそ、パラドックスを倒すことができたんだ」
「そうだぜ、遊星!俺たちだからできたんだ。誰か一人でもいなかったら、きっと世界を救うなんてできなかった」
「遊戯さん…十代さん…」

遊星は滲んだ視界に、優しく笑う二人を見る。
元はと言えば、自分がスターダストドラゴンを奪われなければ、二人をこんな危険な闘いに巻き込むことはなかった。
なのに、遊戯も十代も遊星を責めはしない。
ただ、共にあることこそ大事なことだと、遊星に教えてくれる。
零れおちそうになる涙を誤魔化そうと、遊星は下を向いた。
反動でポツリと落ちた雫が、コンクリートに吸い込まれ、小さな染みを作った。
泣くなんてみっともない、と遊星が涙を堪えるように目を閉じると、感じる温もり。
遊星が反射的に顔を上げると、十代が抱き付いていた。

「十代…さん?」
「よくやったよ遊星。お前はよくやった!」

自分よりも低い位置にある十代の頭が見えるだけで、彼の表情は見えなかった。
でも、震える声が、肩が、遊星に教える。
十代は泣いているのだ。
嬉しくて、切なくて、安心して、泣いていた。
遊星はこみ上げてくる感情を抑えることが出来ず、頬にはツゥと幾筋も涙が伝った。
十代の肩を抱き、静かに涙を流す遊星の頭にポンッともう一つの温もりが置かれる。
歪む視界で手の主を見ると、彼は優しい目で笑った。

「良い闘いぶりだったぜ、遊星」

ウインクをされて、頭をぐしゃぐしゃと撫でられる。
二つの温もりに、流れ込んでくる温かい感情。
遊星はゆっくりと目を閉じた。
このまま、共にいられたら……。
自分たちが過ごしたのは、とても短い時の中だった。
きっと、宇宙から見たら一瞬で消え去ってしまうような、儚い時間の波の中だった。
けれど、何にも代え難いものを得た。
支え合う仲間の力、友を信じる心、強い絆。
だからこそ、こんなにも今この瞬間が尊く、そして切ないのだ。
別れが来ることを、知っているから。

「十代さん…顔を上げてください」
「遊…星…?」

おずおずと顔を上げた十代の目は涙に揺らいでいて、遊星は苦笑した。
優しい人だ。優しい人たちだった。
何故、同じ時代に、出会うことができなかったんだろう。

「俺はあなたたちに沢山のかけがえないものをもらいました。友を信じること、そして強い絆」

遊星は十代を見て、遊戯を見た。
自分を助けてくれた人たち。信じてくれた人たち。
だから、遊星も二人を信じ、闘うことができた。

「あなたたちは恩人です。そして……」

遊星は心を満たす穏やかな感情に、柔らかく微笑んだ。

「かけがえのない、俺の友です」

遊星の声は、とても優しかった。
まるで、もらったものを返すように、温かさに満ちていた。
遊戯は微笑み、十代は満面の笑顔を浮かべる。
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