◎拍手ログ◎

□星に導かれて〜…しまったライバルの出会い〜
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世界の破滅を狙うパラドックスにスターダストドラゴンを奪われた遊星は、時を越えて遊城十代の元にたどり着いていた。
十代と共にパラドックスを追い、スターダストドラゴンを取り戻すため、伝説のデュエルキング・武藤遊戯の時代へタイムスリップした遊星だが…。


『星に導かれて〜…しまったライバルの出会い〜』


「ここが過去の童実野シティ……」

十代と共に武藤遊戯の時代にやってきた遊星は辺りを見渡した。
自分がいる時代の街とはだいぶ変わっている。

「当たり前か…」

改めて自分がタイムスリップしたことを実感して、遊星は感慨深く呟いた。
この時代にたどり着くことができたのも、スターダストドラゴンを取り返す手段を知ることができたのも、全て……。

「行こう、遊星。遊戯さんに会いに」

全て、彼のおかげだ。

「はい、十代さん」

遊星は力強く頷いた。



******************

「遊戯さん!」

伝説のデュエリストは、意外にも街の中ですぐに見つかった。

「あれが伝説のデュエルキング……」

十代が名前を呼んだ人物の背中を見つめていれば、彼はゆっくりと振り返った。

「十代くん!!」

(ん?何でこの
人十代さんの名前を……しかも…)

こちらへ歩み寄ってくる遊戯は、それはもうとろけそうに甘い瞳をして、十代だけを見つめていた。
そう、十代だけを。

「遊戯さん!お久しぶりです!!」

十代は十代でキラキラした瞳で遊戯を見つめ返し、嬉しそうな笑顔を咲かせた。
可愛いなと思いつつも、遊星の胸中は穏やかではなかった。

(何だこの人…十代さんのことなんて目で見て……)
知らず知らずの内に険しくなった顔で遊戯を睨んでいると、彼はふと遊星に視線をやり―――ニヤリ。
ほくそ笑むように、口元に笑みを浮かべた。

「――…っ!!」

(この人……ッ!!)

遊星は直感した。
いや、あるいは恋する男の勘だったのかもしれない。

(この人は……敵だ…!)

これから共に手を取り合うだろう人間に対してふさわしくない言葉だが、遊星は確信した。

「十代くん、彼は?」

彼は?と問いつつ、遊戯の視線は十代から外されることはなかった。
遊戯の手はいつの間にか十代の手を握っている。

「あ、こいつは遊星。パラドックスってやつに盗まれたカードも、遊星が大事にしてたものなんだ」
「そうか…そいつは大変だったな。俺でよければいくらでも力を貸す
ぜ。俺は武藤遊戯だ」
「……不動遊星。よろしくお願いします」

無愛想に名前だけを告げ、遊星は差し出された手を握り返した。
ギュウウウウッ。

「……ッ!!」

途端、渾身の力をこめてきた遊戯の手に、遊星は眉間を寄せる。
ムッと遊戯を見ると、眩しい程の笑顔を向けられた。

「こちらこそよろしくな。ふ・ど・う・ゆ・う・・せ・い・く・ん」

ヒクヒクと引きつる遊戯の口から、刺々しく名前を紡がれる。
こんな危険なコトに十代くんを巻き込みやがってと、遊戯の目は語っていた。
口に出さなかったのは、横で自分たちのやり取りにオロオロしている十代に対する配慮だろう。
ならば、と遊星もグッと最大の握力をこめて、遊戯の手を握った。

「こちらこそ、よろしくお願いしますねデュエルキングさん」

嫌味たっぷりに言いのけ、遊星は声を出さずに唇だけを動かした。
“じゅうだいさんはわたさない”
遊星の声なき宣戦布告を読み取った遊戯は、ニッと笑った。

「受けて立つぜ、不動遊星」
「望む所です」

不適に笑い合う遊戯と遊星。
その下で筋が浮かびそうな程ギュウギュウ握られている二人の手。

「……何かオレ、仲間外れにされてねぇ?」

まさか自
分のことで二人が声なきデュエルをしているとは思わず、十代は唇を尖らせていた。
その後、二人の睨み合いと渾身の力をこめた握手は一時間続き、十代が機嫌を悪くしてしまったのは言うまでもない。


end



懐かしい物が出てきた(笑)
何気に去年の復帰一発目に書いた遊戯VS遊星。
ルーズリーフにあったのをたまたま見つけました。
この時カウントろくとか言ってたけど、本当はごだった(笑)

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