The red moon〜長編〜

□駆け出した記憶
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気持ちいい・・♪


フカフカする・・・


それにとってもいい香り・・・。







「おはようございます。マリア様。」



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明るい光に眩しそうな目を擦りながら目覚めたマリアは爽快な気持ちに驚いた。



『セバスチャン・・・?』



「はい・・・?」





マリアは不思議そうに手にしているそれを確認する。


見た事も無いウサギの人形があった。




『これは・・・?』



「あぁ・・・。それは坊ちゃんの会社で作っておられる[ファントム社]ビターラビットです。」



『・・・?』





まだ寝起きのマリアは上手く理解出来ずにただそのウサギの人形を抱きしめる。




「マリア様の安眠の為に坊ちゃんからそちらを贈るようにお申しつけが御座いました。僭越ながら私からはそちらの・・・。」





そう言ってセバスチャンの指し示す先にあるローズマリーを見てマリアは嬉しそうに微笑んだ。




『うん♪ありがとう、セバスチャン!私、ローズマリー大好きなの♪』




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軽い朝食をマリアが食べている間にシエルも部屋にやって来た。




簡単な朝の挨拶を交わすがシエルは昨日倒れたマリアの心配が拭いきれなかった。





「具合は・・・?」


『もう大丈夫・・・。この子のお陰でよく眠れたし♪』





心配するシエルを気遣うようにマリアは明るく話すと人形のお礼を言った。



少し顔を赤らめたシエルにクスリとセバスチャンが笑う。


その笑いに気付いてシエルはムカッとしたようにひと睨みするとマリアに向き直る。





「マリア。今日は午後から面白いものを見せてやる。」



『面白いもの・・・?』



「ああ・・・♪」





そう言うとシエルはニヤリと笑ってセバスチャンを見た。


そんなシエルにセバスチャンは困ったようなため息を付くのだった。



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