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□理解
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十分わかっています。
昼下がりに縁側に座して、お茶を飲んで、ため息なんてついてまるで老人みたいだ、と病弱で頼りない自分の上司の背中を見て常々思った。
素肌をさらした足に畳の質感は気持ちが悪かったので、小女は正座を崩し、前方に足を真っ直ぐ開放した座り方で、ぼうっとしている彼を見ていると、「放って置いたら死にそうだな」と縁起でもないことを思ってしまった。きっと同僚に漏らしたらシメられる。だけどそう思わずにはいられなかったのだ。
彼は布団で何か最後にかっこいい言葉をみんなに残して死んでいくより、ちょっと前まで生きていたのに気付いたら死んでいた、というようなあっけなさがある最後のほうが似合うから。
そしてそれに立ち会うのは、できればあなたと私の二人きりのときがいいです。