TEXT

□medley Y
7ページ/10ページ

新しい心の恋人ができたから。
---------------
 貴方の翡翠色の瞳という器に、「目的」を注いでいいですか。

「意味」はないし、いらないという貴方のために、それなら、と。
私は私なりに、豆よりも小さいんじゃないかと思われそうな脳みそで考えてみたんですよ。
 意味はなくても目的があれば。あなたが生きていることに意味が無くても目的があれば。
そうすれば今より幸せを感じてくれるのじゃないか、と。

 きっと頭のいい貴方のことだから幸せの意味は知っているものと私も知ってはおりますが、存じ上げてはおりますが、それでも、でも、どうしてもあなたは私の黒い目には悲しそうにうつるのです。

 いらないと言うなら何処に流そうと零してしまわれようと構わない…と言ったらとても苦しい嘘になりますが、それも少しでも貴方の幸せに成り代わるなら報われるでしょう。

 私たちには誕生日という概念自体がないし、何かを祝う日もないし、定まった日の決まりなど何も無いわけで。
 だとしたら一体これは何時何処でどのような言葉を口にしてどのような態度で渡せばいいのかよくわからなかったのですが。

 いつも「へらへら笑うな」と貴方は私を叱るので、不快に見えない綺麗な笑顔を練習しました。鏡の前で何時間も。
そうしたら、あの、私たちよりも弱い生意気な同僚(名前を口に出すのも嫌です)にさんざん馬鹿笑いされました。
今思い出しても悔しいのですが、自分なりに満足できる笑顔を完成させたような気がしています。

 だから、今日はもっと賢そうに見える笑顔で、貴方に「目的」を渡そうと思います。

 気に入ってくださればもう、それはもう、永遠に自分の宝物といたします。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ