天の間
□夢想
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瞼が重い。
けれど開けなきゃ…。
僕はゆっくりと目を開く。
「…!シヴァ」
「ぇ……」
僕は声をかけられ、まだ靄のかかった意識を段々と正常にしていく。
「あ……ユダ」
意外だった。
呟いた自分が残念だと思っている。
何で?
わからなかった。
「良かった。平気か?」
ユダは本当に安心したような笑みを浮かべている。
少し、切ない。
なんで、だろう?
「急に俺の目の前で倒れたんだ。何事かと思った」
「そう、だったんだ」
それはまるで人ごと。
実感がなくて、どういう表情をしたらいいのか分からない。
−−−ユダが優しい。
かなり嬉しいことの筈だというのに…。
「あ…」
思わず口に出してしまった。
勿論それはユダに届いていて、彼は俺の視線まで腰を下ろして目と目を向かい合い、合わせた。
その優しい表情が何故か今のシヴァには痛かった。
そして聞く体制に入ってしまったユダを見て、シヴァは後悔した。
「あ…」
「なんだ?」
「うん、あの…ね、今はユダだけなの?」
「ん?−−−そうだな、今は俺だけだが」
その最後を聞いて、シヴァは余計に後悔した。聞かなければよかった。
期待してしまっている自分が確かにいるからだ。
もしかしてここにユダがいるけれど、別の部屋にまた誰かがいるんじゃないか、と。
だが、それはシヴァ自信の願いであり望みでしかないんだと納得せざるを得ない状況に自ら落としいれてしまっただけであった。